事業協同組合とは、中小企業が集まり、実施する共同事業を通じて、組合員である中小企業の経営の合理化・効率化、取引条件の改善等により経済的地位の向上を目指す組織です。
例えば、ガソリンの購入量で考えてみます。1社だけでは購入量があまりないためガソリン単価の引き下げ交渉ができない企業でも、同じような会社が10社集まればそれなりの購入量になります。それによりスケールメリットを生かした単価の引き下げ交渉が可能となります。
中小企業が集まり事業協同組合を設立することで、1社では実現できなかったことが可能となり、結果として組合員企業の経営の合理化・効率化、経済的地位の向上につながっていきます。
事業協同組合の共同事業
事業協同組合が行う共同事業には様々な種類がありますが、比較的多くの事業協同組合が行っている事業は以下のものです。
- 共同購買事業
- 共同生産・加工事業
- 共同販売事業
- 福利厚生事業
組合員が必要となる資材、消耗品等を事業協同組合がまとめて購入し、組合員に供給する事業です。これにより、仕入先との交渉力が強化され、仕入れ価格の引き下げ、代金決済などの取引条件の改善、購入品の規格・品質の均一化が図れます。
個々の組合員では所有できない高額・大型の機械設備等を組合が導入し、組合員が必要とするものを生産・加工し、組合員に供給する事業です。これにより原価の引き下げ、規格の統一、品質の向上、設備や仕事の効率化などが可能となります。
組合員が製造した製品等を事業協同組合がまとめて販売する事業です。これによって販売価格や決済条件などの取引条件が有利になるほか、大口需要先への対応や新販路の拡大等が図れます。
組合員の生活面の向上を図るための事業で、健康診断、慶弔見舞金の支給、親睦旅行、レクリエーション活動等があります。
事業協同組合の設立の流れ
- 発起人を集める
- 設立趣意書、定款、事業計画書、収支予算書等の作成
- 組合員を集める
- 創立総会の開催
- 第1回理事会の開催
- 設立の認可申請
- 設立の認可
- 発起人から理事会への引き継ぎ、出資金の払込
- 設立の登記
- 事業協同組合成立
発起人について
事業協同組合は4名(社)以上の人(法人含む)が集まらないと設立できないため、発起人を4名(社)以上集める必要があります。
定款について
定款には様々な組合の規則を盛り込みますが、事業協同組合の定款には、組合員となれる人(会社)の「地区」「業種」などを入れる必要があります。例えば、地区を岐阜県とすると、事業場もしくは住居が岐阜県内にある人のみしか加入できません。(一度決めた定款でも、総会を開催し行政庁の認可を得ることで変更はできるので、最初に決めた地区以外の人(会社)が永久にその組合に加入できないということはありません。)
設立時の段階で組合員となる人の地区や業種を踏まえて作成する必要があります。
組合員について
事業協同組合は中小企業の事業者でなければ組合員となれません。(大企業は事業協同組合の組合員にはなれません。)
事業協同組合の法律上の中小企業者の範囲は、事業者の資本の額と従業員の数から定められており、しかも工業・鉱業・運送業その他の業種と商業、サービス業では異なっております。
- 工業・鉱業・運送業その他の業種・・資本の額または出資の総額が3億円以下であるか、常時使用する従業員の数が300人以下であること
- 小売業・・資本の額または出資の総額が5,000万円以下であるか、常時使用する従業員の数が50人以下であること
- サービス業・・資本の額または出資の総額が5,000万円以下であるか、常時使用する従業員の数が100人以下であること