工事1件の請負代金が500万円以上の工事を請け負う場合、建設業の許可が必要になります。(建築一式工事の場合、1件の請負代金が1,500万円以上)
建設業許可は工事の種類により28種類に分かれており、建設業の許可を取得した種類の工事のみ500万円以上の工事を請け負うことができます。そのため、自社の工事内容に合わせて、自社の工事内容がどの種類に該当するかを確認して建設業許可を取得する必要があります。
建設業許可の種類
建設業許可には①知事許可と大臣許可、②一般建設業許可と特定建設業許可の種類があります。
知事許可と大臣許可
知事許可と大臣許可は工事の請負金額、業種などには関わらず営業所の所在地によって決まります。
営業所の数が1ヶ所、もしくは複数の営業所があってもすべてが1つの県の中にあるときは知事許可になります。それ以外の時は大臣許可となります。
一般建設業許可と特定建設業許可
一般建設業許可とは、建設工事を下請に出さない場合や、下請に出した場合でも1件の工事金額が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)未満の場合に必要な許可です。
特定建設業許可とは、発注者から直接請け負った1件の工事について、下請代金の額(下請契約が2以上あるときはその総額)が3,000万円(建築一式工事は4,500万円)以上となる建設工事を施工するときに必要となる許可です。
特定建設業の許可が必要になるのは元請業者のみです。
建設業許可を取得する要件
建設業許可を取得するためには5つの要件があります。
- 経営業務の管理責任者がいること
- 専任技術者が営業所ごとにいること
- 請負契約に関して誠実性があること
- 請負契約を履行するに足る財産的基礎または金銭的信用を有していること
- 欠格要件に該当しないこと
経営業務の管理責任者
経営業務の管理責任者になれる人は、以下のいずれかに該当していなくてはなりません。
- 法人の場合、常勤の役員であること。
- 個人の場合、事業主本人または支配人登記した支配人であること。
さらに、建設業許可を取得しようとする業種に応じて、以下の経験年数が必要になります。
- 建設業許可を受けようとする建設業に関して、5年以上経営管理の管理責任者(法人の役員、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人)として経験を有していること。
- 建設業許可を受けようとする業種以外の建設業に関し、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること
- 建設業許可を受けようとする建設業に関し、7年以上経営業務を補佐した経験を有していること
ご自身で会社を経営して建設業を営んで方や、個人事業主として建設業を営んでいる方の場合、いままで営んでいる業種の建設業許可を取得する場合は5年の経営経験が必要になり(例えば、今まで内装工事を経営しており、今回内装工事業の建設業を取得する場合など。)、いままで営んでいない業種の建設業許可を取得する場合は7年の経営経験が必要になります。(今まで内装工事を経営しているが、今回内装工事業以外の建設業を取得する場合。)
専任技術者
専任技術者とは建設業許可を取得しようとする業種に関して、専門的な知識や経験を持つもので営業所ごとに配置しなくてはならないことになっています。専任技術者になれる人は、以下の要件のいずれかを満たしている必要があります。
一般建設業の場合
- 許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関して、大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)指定学科卒業後、許可を受けようとする業種について3年以上、高校(旧専門学校を含む)の場合、指定学科卒業後5年以上の実務経験を有する者。
- 学歴・資格の有無を問わず、許可を受けようとする業種にかかる建設工事について10年以上の実務経験を有する者。
- 許可を受けようとする業種に関して、国が定める資格を有する者。その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。
特定建設業の場合
- 許可を受けようとする業種に関して、国土交通大臣が定めた試験に合格した者、または国土交通大臣が定めた免許を受けた者
- 上記の一般建設業の要件1~3のいずれかに該当し、かつ元請として消費税を含む4,500万円以上の工事(平成6年12月28日以前は3,000万円、昭和59年10月1日以前は1,500万円以上の工事)について2年以上指導監督的な実務経験を有する者
- 国土交通大臣が上記1、2に掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
- 指定建設業(土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業、電気工事業、造園工事業)については上記1、3に該当する者であること
請負契約に関して誠実性があること
請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれがないことです。
法人の場合はその法人、役員、支店長、営業所長が対象となり、個人の場合はその個人事業主または支配人が対象となります。
建設業法、建築士法、宅地建物取引業法等の違反で「不正」または「不誠実な行為」を行ったことにより免許の取り消し処分を受け、あるいは営業の停止などの処分を受けて5年を経過しない者は誠実性のない者として取り扱われます。
財産的基礎または金銭的信用を有していること
請負契約を履行するに足る財産的基礎または金銭的信用を有していることです。
一般建設業の場合
一般建設業の場合、以下の1~3のいずれかに該当している必要があります。(新規に建設業許可を取得する場合は1、2いずれかに該当している必要があります。)
- 純資産の額が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 許可申請直前の過去5年について許可を受けて継続して建設業を営業した実績のあること(更新の場合)
特定建設業の場合
特定建設業の場合、以下の1~4に該当しなくてはなりません。
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上あること
- 資本金が2,000万円以上あること
- 純資産の額が4,000万円以上あること
欠格要件に該当しないこと
- 許可申請書またはその添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載があるとき。または重要な事実の記載が欠けているとき。
- 法人の役員、個人事業主本人、令3条に規定する使用人が次のいずれかの要件に該当するとき。
- 役員等(取締役のほか、顧問、相談役等の職務を含む)に暴力団や過去5年以内に暴力団員だった者が含まれている法人、暴力団員等である個人、暴力団員等に事業活動を支配されている者。
①成年後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ない者
②不正の手段により許可を受けたことなどにより、その許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しないもの
③許可を取り消されるのを避けるため廃業の届出をした者で、その届出の日から5年を経過しない者
④建設工事を適切に施行しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼすおそれが大であるとき
⑤請負契約に関し不誠実な行為をしたことにより営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者
⑥禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けられなくなった日から5年を経過しない者
⑦一定の法令に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者
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建設業許可を取得するにあたり、まず最初にクリアしなくてはならないのが上記記載の5つの条件ですが特にネックになるのが「①経営業務管理責任者の要件」「②専任技術者の要件」の2つです。
建設業許可を取りたいが要件を満たしているか分からないという方は、お気軽にご相談ください。現在の状況、現在に至るまでの経歴をお聞きすることで要件を満たせるか、満たせないかの判断をさせていただきます。(相談料は一切不要)
また、満たせない場合はどうすれば満たすことができるかについてもアドバイスさせていただきますので、建設業許可の取得をお考えの方は一度お気軽にご相談ください。